第三十エナジー 「竜牙たちの修学旅行」

9月に入った。

竜牙は始業式を迎えた。

当然、夏休みの宿題を終えていない竜牙は担任の山崎先生に怒られた。

「唯くん。例の事件のせいもあるかもしれないけど、宿題ちゃんとやらなきゃダメだぞ。大人になってから、提出期限を守れないと困ることになるよ。わかってる?唯くん。」

「は~い。がんばりま~す。(めんどくせー。)」

「じゃあ今週中に宿題ちゃんと提出するように。」

「えっ。でも先生。明後日から修学旅行じゃん。宿題やっている場合じゃなくね?」

「いやいや修学旅行終わっても、ちゃんと夏休みの宿題最後までやってもらうからね。唯くん。」

いつもは優しい山崎先生。

なぜか、今日はいつもより迫力があった。

竜牙は事件のせいにして、宿題をすっぽかす気満々だったのに。

良太と愛には会った。

学校で。

惑星ダイナソーでの話ができていない。

俺からは言えない。

あいつらにとって、先輩を亡くした嫌な思い出となっているだろうから。

二人はなんとなくそっけない感じ。

あいさつはする。

でも、深い話はしてこない。

だったら俺から聞かない、言わない。

そっとしておこう。

あいつらから何かアクションをおこさないかぎり。

そうこう思っているうちに、修学旅行の前日になった。

家で修学旅行の準備で慌てている竜牙の家。

「竜牙!!下着忘れてるわよ!!あんたずっと同じ下着を履くつもり?不潔よ!!」

「ちょっと忘れてただけだろーが!!別に母さんに手伝ってって頼んでねーし。」

「あんたがクラスで恥かかないように協力してあげてるんでしょーが!!それより京都の自由行動の時間はどうするの?やっぱ愛ちゃんと行動するの?」

「は?何言ってんだよ。母さん。愛とは別のクラスだぜ。違うクラスのやつと行動できるわけねーじゃん。それに愛なんか興味ないし。」

「愛ちゃん。ホント大人っぽくなってきたわ。小さい頃から美人さんになるとは思っていたけど。賢くて運動もできて、お父さん、お母さんも弁護士さんだったわよね?将来有望ね。絶対、清水寺で告白しなさいよ?」

「このババア。話聞いてねーし。清水寺で告白ってとある漫画の影響受けすぎだっての。」

そう言いながら、竜牙も京都へ行く修学旅行が楽しみで仕方がなかった。

早朝、竜牙の学年の六年生は、東京駅に全員集合した。

新幹線で京都に向かうためだ。

「新幹線なんて、久しぶり。テンション上がるぜ。でも、俺のアバターの飛行の方が速いけどな。あっ。良太だ。良太!!おはよう!!」

「あっ。竜牙。おはよう。」

やっぱりどこか元気のない良太。

ちゃんとアルデランスに治療されたのかな?

ホントはまだどこか痛かったりするのかな?

新幹線に乗ると、竜牙はすっかりそのことを忘れていた。

「わっ。やっぱはえー。普通の電車とは違う。カッケェー。」

竜牙のクラスの女子たちが竜牙のことを話している。

「唯くんって、小学六年生になって新幹線ではしゃいでるわ。ホントガキね。よく鈴中さんが言ってるもんね。唯はガキで馬鹿だから関わらない方がいいわって。」

「とか言って、実は鈴中さんが唯くんのこと好きだったらどうする?」

「えっ。そしたら凸凹コンビね!!ちょーウケる。キャハハハハ。」

「私はね、中西良太くんと鈴中さんが怪しいと思っているのよ。結構あの二人仲良く話しているもの。」

「イヤ。中西くんは私のものよ。」

「バカ。ブス!!中西くんは私と結婚するのよ!!」

程度の低い話をしていた。

京都に着いた竜牙の学年。

定番のコースを回ることになる。

嵐山、金閣寺、二条城と回っていった。

今日、最後に回るところは、竜牙のお母さんが大好きな清水寺だった。

竜牙はクラスの男女四人とグループを組み、それぞれの観光地を回ってきた。

ここにきて…。

「まずい。」

「唯くん。どうしたの?」

「おしっこしたい。ごめん。先に行ってて。」

「え~。唯くん。早く追いついてよね。唯くんいなかったら私たちが先生に怒られるんだから。」

竜牙は必死にトイレを探した。

でも、見知らぬ土地でなかなか見つからない。

「あれ?トイレどこにあるんだろ。漏れそう。」

竜牙が困っていると、一人のおじさんが話しかけてきた。

「僕、どうしたの?何を探してるの?」

「おしっこ漏れそうなんだけど、どこでできる?」

「この辺ないね。ちょっと人がいないところでしちゃいなさい。こっちに来て。」

そう言われて、竜牙はちょっと人がいなさそうな神社の近くに連れて行かれた。

ジャー。

「あ~。気持ちよかった。おっちゃん。ありがとう。それにしてもおっちゃん、けっこう暑いのに、そんな上着着てて暑くない?」

そうその男は、9月にも関わらず、ズボンの下まであるコートを着ていたのだ。

「グフフフフ。バア。」

中年は、コートのチャックを全開に開けた。

すると、全裸だった。

「えっ。汚ねえちんちんだな。俺に見せてどうすんの?そういうのって女に見せるもんじゃねーのか?」

「えへへへ。お前に見せてどういう反応するか知りたかったんだ。唯竜牙。」

「えっ。俺の名前!!あんた一体!?まさかエナジープラン!!」

「そうだ。唯竜牙。得意のアバターを出してもいいんだぜ。俺はエナジーを放出していない。だったら、お前のアバターの攻撃を効くことはない。」

「そのことを知っているなんて、もしかして田中先生(この物語の序盤で竜牙を襲った女性の担任)と繋がっているのか、おっちゃん。」

「うへへ。勘がいいな。小僧。俺は田中も所属している反エナジー部隊組織『スサノオ』の岩亀だ。」

「俺くらいの歳だったらそんな名前にして大丈夫な気がするんだけど。おっちゃんみたいな人たちがいる年代でそんな組織に名前にするなんて、厨二病とか言われねーか?」

「いやいや。兄ちゃん。自分の立場をわかっているかい。」

岩亀は、コートのポケットから刃渡りが長いナイフを取り出した。

竜牙は危険を察知し、逃げ出した。

「やばい。いくら俺が筋トレしてるからって刃物はまずい!!」

竜牙は岩亀から逃げようとしたが、大人の岩亀と竜牙では圧倒的に肉体的身体能力が違った。

ドン!!

「痛ぇっ!!」

岩亀に蹴られ、竜牙は神社の大きな石柱まで吹っ飛んだ。

「ハハハ。ホントに話通りにアバターじゃなければ、唯竜牙はただのガキなんだな。こんなの誰でも殺せる。ククク。」

「痛くて、動けねぇ。クソ。」

痛みで動けない竜牙。

なんとかしようとアバターを出現させ、岩亀を殴ったりしているが、エナジーを放出していない岩亀にはすり抜けてしまう。

「もしかしてアバターを出現させているのか?無駄だ。このままナイフで突き刺して殺してやる。」

岩亀はナイフを大きく振りかざした。

「やめなさいよ。おじさん。なんでコートの下全裸なのよ?意味わからないわ。」

竜牙がみた先には愛がいた。

「こんなときだけ、竜牙はお姫様の立ち位置だな。」

良太もいた。

「おまえら。なんで。」

「もう。仕事よ仕事。私が、竜牙の監視役兼、護衛も務めている立場なのよ。知らなかった?お仕事はちゃんとするのよ。ああ忙し忙し。」

「愛!!後ろ!!」

「もう。なによ。えっ。」

「このクソガキども!!エナジー部隊の犬どもが!!」

岩亀は、ナイフで愛を斬りつけた。

ズバッ。

バキン。

「は?小娘…。おまえ、本当に人間か。エナジーを使っていないのに、その腕の強度。」

愛は右腕で岩亀のナイフをガードし、ナイフが右腕を斬りつけたと同時にナイフが折れたのだ。

しかもエナジーでの防御は一切行なっていなかった。

「はぁ。だからやんなっちゃうのよ。もう私、普通じゃなくなったの。」

ドブッ。

愛は右ボディブローを放ち、岩亀を悶絶させた。

「う…ブクブク。」

岩亀は泡をふいて倒れている。

「さあ良太。京都府警のエナジー課に連絡して。この変態オヤジをムショに入れるわよ。」

「うん。今、電話してる。あっ。お世話になっています。横須賀のエナジー部隊の初等部の中西良太です。エナジー課の刑事と代わってください。エナジープランの犯罪者を捕まえましたので。」

「愛。大丈夫なのか。ナイフで刺されたのに。エナジーも出してないのに。どういうこと?」

「それね。私も良太もおかしくなっちゃたの。おかしな体にされたというかなんというか。」

「ダイナソーのアルデランスに変なことされたのか?」

「体を治してもらったのは良いんだけど、なんでこんな治し方にするのかしらね。たしかにアルデランスのせいよ。」

つづく。


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