第二十五エナジー 「愛の死力を尽くした戦い」

愛とティラノサウルスの「パビューダ」の二回戦が始まった。

試合が始まると同時に、愛はウガンドロン(シールド高速移動術)で空を飛び、パビューダと距離を取った。

バリバリ。

距離を取りつつ、愛はエナジーマジックをためていた。

ヴュックジャガ(電撃)を放つために。

「喰らいなさい!!『バデ・ヴュックジャガ』(特大の電撃)!!」

バリバリドジュー!!

電撃は恐ろしく速い。

エナジーパワーが高いと予想されるパビューダでも、身体能力で避けるのは困難だ。

大抵のものは直撃する。

パビューダもまともに特大の電撃を浴びた。

「チッ。エナジーマジックも私以上か。クソ。」

「ククク。少し効いたぞ。その攻撃でエナジーマジックが俺より高かったら、大ダメージを与えることができただろう。しかし残念なことにエナジープランのティラノサウルスたちはエナジーパワー、エナジーマジックともに他の恐竜より高いのだ。」

「あっそ。自慢話は終わり?ところでブッサイクな顔ね。あんた。強いのかもしれないけど、どうせ女からはモテないんでしょ?」

「は?俺は女だ!!『アギャ』(炎のブレス)!!」

パビューダは強烈な炎のブレスを愛に向かって吐いた。

ゴオオオオ!!!!

「ヒッ。」

愛は間一髪ウガンドロンでかわした。

シュッ。

「何よ。あの炎。あんな濃厚な炎くらったらシールドを破壊されて私の骨まで残らないわ。」

「他に打つてはないのか?弱いお嬢ちゃん。」

「私が弱い?ふざけないで!!私はね小学生でありがながら、飛級でエナジー部隊の高等部にいったのよ!!弱いわけないでしょ!!『ポール・ゲング』!!」

愛は得意の攻防一体の技「ポール・ゲング」を体に纏った。

ポール・ゲングはエナジーでできた球体。

敵の直接攻撃、エナジーパワーや、属性攻撃、エナジーマジックを自動で察知し、本体である愛に直撃する前に自動で衝突するようプログラムされている。

このポール・ゲングにヴュックジャガの力を込めはじめた。

バリバリ。

「電撃か。さっき程度の攻撃だったら効かんぞ。」

「あら。ごめんなさい。さっきヴュックジャガは全力のエナジーマジックだったの。それが効かないんじゃお手上げだわ。」

口ではそう言いながら、さっきと同程度の規模の電撃をポール・ゲングに込めている。

「その球の威力と電撃を合わせるんだな。面白い。来い!!」

「なめるんじゃないわよ!!」

その瞬間、ポール・ゲングを放った。

バリバリシュッ。

「どこに投げている。」

ブンブンブンブン。

ヴュックジャガの威力が込められたポール・ゲングは愛とパビューダの周りをまわっている。

「お嬢ちゃん。なんの真似だ?」

「あら?あたしとしたことが。てへ。こんなミスをやらかすなんて、まだまだ小学生よね?若さゆえに許してよ。ってバカが!!そんなわけあるか!!遠心力で破壊力が増すんじゃ!!行け!!ポール・ゲング!!そして死ね!!トカゲ!!」

遠心力と電撃の性質を得たポール・ゲングは、スピードも強化されていた。

その勢いのまま、パビューダに衝突した。

バコーン!!

ジュッ。

衝撃の影響か、パビューダの姿は煙で見えなくなってしまった。

「倒してはないと思うけど、ちょっとは効いたでしょ?」

ビッ。

パビューダのいる方向から、赤いレーザーが噴射された。

ズバッ。

愛はもう一つのポール・ゲングで体を守っているにも関わらず、右腕がレーザーによって焼き切られてしまった。

「いやああああああがあああああああああああ~!!!!!!!!!」

グチャ。

愛の右腕は闘技場の舞台上に落ちた。

控室のプロジェクターでその光景をみていた竜牙は。

「愛のバカ!!油断しやがって!!」

たまらず竜牙は控室を飛び出した。

「はあはあはあ。なんなのよ。そのレーザーは!!」

「『アギャ・ケンドレッド・レーザー』(濃縮された赤いレーザー)。さっきの炎と同じだ。ただ炎の範囲を球体ほどの大きさに圧縮し、的を絞って放っただけだ。コスパがいいのに、威力が段違いだ。お前のエナジーの球体が俺にぶつかる瞬間に同時に放ち相殺した。それからおまえの胸を貫こうとしたが、もう一つの球体に邪魔されて、レーザーの的がズレて、お前の右腕が吹っ飛んだというわけだ。」

「く、クソッタレ。私の右腕を医術エナジーで治している暇はない。どうせ次のレーザーが来るでしょ?」

「その通りだ。『アギャ・ケンドレッド・レーザー』(濃縮された赤いレーザー)!!」

パビューダは炎のレーザーを愛に向けて放った。

ビッ。

シュッ。

愛は姿を消した。

シャナティック・アンドラン(空間移動術)だ。

「消えた。一回戦で使っていた技だな。お嬢ちゃん。他に手があるのかな?」

愛はパビューダの遥か上空にいた。

地上から1200m。

パビューダのウガンドロン(シールド高速移動術)でも一瞬では移動できない距離だ。

愛は最後の力を絞る。

「この力は対竜牙戦までとっておきたかったけど、死ぬかもしれないんじゃ関係ないわよね。いくわよ。私!!『サレ・エナジーマジック』(全エナジーマジック)!!」

愛はエナジーパワーよりエナジーマジックの方が優れている。

敵のティラノサウルス、パピューダはエナジーマジックよりエナジーパワーの方が強い。

シールドの守備力もそうだ。

エナジーパワーが強ければ、エナジーパワーの防御力が高い。

エナジーマジックの方が低く、愛の得意なエナジーマジックをエナジーパワーの力ごと、エナジーマジックに換算する。

それはすなわち、愛のエナジーパワーが0になる。

その分、エナジーマジックにパワー分がマジック分として上乗せされる。

物理攻撃されたら、エナジーを纏っていなくても即死だ。

命と覚悟を決めなければ、勝てないと愛は判断したのだろう。

愛はエナジーマジックでヴュックジャガを全身と纏った。

バリバリ。

愛はパビューダ目掛けて落下した。

ドビューン!!

「来たか。」

落下の速度、重力、ヴュックジャガによるスピードアップ、エナジーパワーを使っていない愛だが、それだけで物理的攻撃力も上がる。

それを闘技場の玉座からみていた宇宙を粛清するもののさこと、この惑星ダイナソーのマクロ恐竜人間のアルデランスは。

「鈴中愛は特攻ですね。なかなかの覚悟で美しいです。我が恐竜たちもなかなか自分の命をかけてまで力を使い切りません。地球人にもすごい根性の持ち主がいるんですね。」

「そうだな。力の使い方、エナジーの使い方がまるでなっちゃいないけどな。」

心なしかさこの表情が曇っている気がした。

「さこちゃん。あいは死ぬの?」

「まあ大丈夫だろ。あいつがいるからな。」

ズガーン!!!!!

愛とパビューダは衝突した。

バリバリバリバリ。

グチュ。

ブシュー。

ティラノサウルスのパビューダは、小さい腕の爪にエナジーパワーを集中させ、愛の腹部を貫いた。

「ぐふっ。」

愛は吐血した。

ドン!!

パビューダは愛の体を闘技場の舞台の上に叩き落とした。

「面白かったがこれまでだな。」

パビューダはアギャ(炎)を口に集中させた。

炎のブレスで愛を燃やし尽くすつもりだ。

そのとき、光った。

ピカッ。

「ラビ。(太陽)」

控室から闘技場の入り口に出てきた竜牙。

まるで恒星太陽のように光り輝いていた。

「なんだ?」

眩しそうに竜牙の方をみるパビューダ。

「これ以上愛に何かしてみろ。お前を殺す!!何もかも殺す!!」

太陽光の光を常日頃吸収し続けていた竜牙。

ラビ状態の竜牙のエナジーパワーは軽く10000を超えていた。

「やっぱり地球人の中でお前が一番面白そうだな。殺す?やってみろよ。お嬢ちゃん殺すぞ。」

ブチ。

竜牙はキレた。

「後悔しやがれ!!『ラビ・エナジーショット』!!」

かつての竜牙が放ったエナジーショットとは比べ物にならない威力。

桁違いのバカデカイエナジーの塊が、闘技場全体を撃ち抜こうとしていた。

ドバーン!!

バキャン!!

この星の統治者アルデランスが、竜牙のラビ・エナジーショットを上空に弾き飛ばした。

「困りますよ。唯竜牙。その技は闘技場の観客席まで巻き添いにする。観客を守るのも私の仕事です。」

「クソが!!」

「パビューダ。鈴中愛の落ちている右腕を拾ってとっとと勝負を決めなさい。」

「はい。アルデランス様。」

ティラノサウルスのパビューダは、落ちている愛の右腕を口にくわえ、上空に掲げた。

「二回戦。地球人『鈴中愛』対ティラノサウルスの『パビューダ』。勝者『パビューダ』!!」

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~!!!!!!!!!」

観客席の恐竜たちの歓声が響いた。

竜牙は闘技場の舞台で横たわっている愛を抱えて、すぐに控室に戻った。

「愛は死なせねえ!!絶対に!!」

つづく。


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