第二十四エナジー 「調子に乗ったものの末路」

竜牙たちの大会の様子を観ているさこたちは。

「なんかりゅーがよわーい。なんかオトナのふたりもよわい。まよちゃん。もっと恐竜に活躍してほしいの。」

「大丈夫だ。まよ。恐竜たちの中でも竜牙たちより強いエナジーを持っているやつらが数匹いる。竜牙以外は勝ち続けるのが難しいだろう。」

「あっ。あのババアしんだよ。さこちゃん。」

「油断しすぎだ。接近戦に持ち込めば、勝機があったのにな。」

さことまよと恐竜人間のアルデランスは、闘技場の高いところに設置してある玉座から、大会の様子を観戦している。

「さこ様。地球人の長谷が、恐竜と人間の全面戦争を宣戦布告していますが、どうしますか?」

「ハハハ。勝手にやらせておけ。あいつ程度じゃ何もできん。ミクロの恐竜たちは地球の人間と大差ないが、マクロのおまえがいるんじゃ億単位のミクロがいたとしても勝負にならんだろ。」

「では、現在の地球にはマクロは不在なんですか?」

「もしかして地球が欲しいとか思ったか。無駄だ。マクロはいないが特殊な術で、エナジープランが感知できない星になっている。」

「なるほど、そんな特異なことに。長谷と私のところの恐竜たちの全面戦争になりますかね。」

「あの程度のエナジー無効化の技でいい気になっていたら笑えるよな。」

闘技場の舞台に立っている長谷は怒りをあらわに、エナジーを増大させていた。

「こんな試合なんかどうでもいい。おまえら恐竜ども、俺が全部片付けてやる。」

「それより、おまえの試合がもう始まるけど、どうする?そいつを倒してから、場外乱闘勝手にしたらどうだ。」

「加賀美が殺されたのに、試合がどうのこうの言っている場合じゃないだろ!!」

「じゃあ攻撃させてもらおう。」

コンプソグナトゥス。

小型の肉食恐竜。

ジュラ紀後期に生息していたとされる。

体長は70~140cm。

恐竜にしてはずいぶん小さい。

しかし大型の恐竜と違って素早い動きができる。

次に長谷と戦う予定になっていたのは、コンプソグナトゥスの「アリネサ」。

アリネサは素早い動きを活かし、口を尖らし、突きのような攻撃を繰り出してきた。

ズボッ。

「クッ。恐竜のくせにお前はチビだな。そんな攻撃、俺のシールドは通さない!!」

長谷はアリネサの突きを両腕でエナジーパワーを強化したシールドでガードした。

なのに…。

ドン!!

長谷は闘技場の舞台の外に落ちてしまうほど、吹っ飛ばされた。

「グフ。」

「おい。地球人。俺たち恐竜を舐めすぎだ。前大会の優勝者を倒したからって俺ら恐竜全部を相手にするだって?身の程を知れ。」

「その生意気な口、すぐに叩けなくしてやる。『10セケネット・ラケットエナジー。』(10秒間強制無効エナジー)!!」

長谷は光のサークルをアリネサ目掛けて出現させた。

シュッ。

素早い動きをするアリネサは、サークルの中に入らない。

「なに!?」

「一回戦。観てたぞ。この中に入ったらエナジーが練れないんだろ?だったら入らなければいいだけだ。」

ズドン!!

長谷の光のサークルをよけたアリネサは、そのまま長谷にタックルをしてきた。

アリネサの攻撃を余裕で手で受け止める長谷。

受け止めた後に、重い衝撃が襲ってくる。

バキバキ。

「うぎゃああああああああああああああああああああああ~。」

アリネサのタックルを手で受け止めた長谷の手の骨が粉砕骨折した。

「俺はエナジーパワーでガードしていたはずだぞ。なんだこれは?」

「エナジーマジック『カンパン(振動)』だ。俺のエナジーパワーの攻撃の後に追加で発動する。超強力な振動波だ。エナジーマジックの防御力が低いと大ダメージを受けるぜ。」

「それでか。クソ。『イラージ』(自己治癒力強化)。」

長谷は粉砕骨折の治療をしながら、アリネサとの距離を取った。

「お前のエナジーさえ封じれば、俺の勝ち!!『10セケネット・ラケットエナジー』!!」

エナジーを無効化する光サークルを、アリネサの真下に発生させた。

シュッ。

アリネサのスピードが速くて捕らえられない。

「速い!!それでもエナジーさえ使わせなければ勝てるんだ!!」

キュイーン。

何度もアリネサ目掛けて光のサークルを発生させる。

しかし、アリネサは別の攻撃手段にうつっていた。

「お前の弱点はもうわかった。シールドのエナジーマジックが弱いこと。だから、遠距離でエナジーマジックで攻撃すればいいだけとのこと。『バルーパ』(氷のブレス)!!」

アリネサは長谷に氷のブレスを吐いた。

カキン!!

長谷のシールドは防御しきれず、一瞬で凍りついてしまった。

ズバッ!!

そのままアリネサはエナジーパワーで強化した尻尾で、凍った長谷の首をはねた。

器用に尻尾で長谷の首を持ち上げ、頭上に掲げた。

「勝者コンプソグナトゥスの『アリネサ』!!」

観客席から恐竜たちの歓声があがった。

「わあああああああああああああああ~!!!!!!!」

「ざまあみろ。地球人。何が俺ら恐竜を相手にするだ?調子に乗りやがって。」

「死んでいいきみだぜ。」

「アリネサ一体にあのザマ。笑わせる。」

竜牙はこの試合を、控室でプロジェクターを通してみていた。

「おい!!愛!!長谷の兄ちゃんも殺されてしまったぞ!!」

「は?長谷先輩まで?先輩も医術エナジー私より使えたはずなのに。もうっ。このままじゃ良太も死んじゃう…。」

泣きそうになった愛だったが、ぐっと堪えた。

「私しかいない。良太を助けられるのは私。やるのよ私。医術エナジーの授業で習ったことを思い出すのよ。まずは血液。」

愛は両手を広げ、あたたかいエナジーで良太を覆った。

ぷわぁ~。

「私のエナジーで良太の体を覆ってみてわかる。良太の体の状態が。出血多量。斬られている箇所の傷口が広がりすぎている。この二つの状態を解決できれば、生存させることができる。やるのよ!!」

愛は、自身のエナジーを使って良太の体内の血液を増やした。

失った良太の血液を作り出すことに成功した。

次はアロサウルスに斬られた大きな傷。

傷口を皮膚で塞ぐ。

皮膚をエナジーでつくりだすのは大変な神経を使う。

いや、愛の力では無理だ。

無理だと判断した愛は、良太の傷口の間の皮膚を無理やり引っ付けることにした。

グチュ。

「はあはあはあ。これでなんとか良太の命をつなぐことができたわ。」

「良太は大丈夫なのか?」

「私の治療は完璧じゃない。それでこそ、加賀美先輩のような医術エナジーじゃなきゃ治せない。すぐにでもちゃんとした治療を受けなきゃいけないわ。早く地球に戻って先生たちに診せなきゃ。」

「この大会を早々に終わらせなきゃならないってことか。俺に任せてけっ。」

「何よ。私だっているわ。加賀美先輩も長谷先輩もやられちゃったけど、私は冷静にことを運ぶわ。」

「二回戦の地球人の『鈴中愛』対ティラサウルスの『バビューダ』!!Bブロックの闘技場集合!!」

「愛。相手はティラサウルスだって。」

「わかっているわ。でも優勝候補のティラノサウルスは長谷先輩がやっつけてくれたのよね?油断はしないわ。絶対エナジーパワー型でしょ?遠距離で『ヴュックジャガ』(電撃)をたくさんお見舞いしてやるわ。」

愛は自信満々で控室から出て行った。

いつも能天気な竜牙なのだが、長谷、加賀美が死に、良太も重傷。

さすがに嫌な予感を拭きれなかった。

Bブロックの闘技場に来た愛。

そこには大きなティラサウルスが待ち構えていた。

「何よ?ニヤけているの?地球人の私が珍しいの?怪獣さん。」

「一回戦観ていたぞ。あの程度だと残念だが、楽しませてくれるんだろ?」

「楽しめるかわからないけど、一方的ないじめになっちゃったらごめんなさいね?」

「地球人『鈴中愛』対ティラノサウルスの『バビューダ』はじめ!!」

つづく。


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