第二十エナジー 「一回戦」

竜牙はAブロックの闘技場の舞台で待っているのに、相手のブラキオサウルスの「メルセ」は来ない。

「なんだよ。戦う前から逃亡かよ。つまんねーな。」

すると、上空から巨大な恐竜が降ってきた。

「わっ。もしかしてそゆこと?」

そうなのだ。

ブラキオサウルス。

草食恐竜で体長が25mにもなる。

約1億5千年前ほどに地球に生息されていたとされている。

そんな巨大なブラキオサウルスは、大きな扉で作られているとは規格外の大きさのため、闘技場の入り口から入ることができなかった。

「ウガンドロン(シールド高速移動術)か。」

「そうだ。地球人のクソガキ。ウガンドロンさえ使えれば、空中で戦おうが、地上戦、水中戦、全て関係ないだろう。もしかして、うまく使いこなせないのか?シールドの纏い方がなっておらんようだが。」

「あ?俺のこと?シールドは戦いの時しか必要ないんだ。シールドなくても、俺、死なないから。」

「舐めた地球人。俺は草食動物だが、噛み殺す。」

気づけば、審判である恐竜人間の分身「アルデランス」は二人になっていた。

闘技場の舞台Aブロック、Bブロックで審判をするためのようだ。

「じゃあ一回戦。地球の『唯竜牙』対ブラキオサウルスの『メルセ』。はじめ!!」

竜牙は瞬時にシールドを展開させた。

ズオッ。

真正面からメルセに向かい、開始早々、メルセの顔面を右拳で殴りつけた。

ガン!!

「やっぱ硬いな。」

「ククク。小さい人間だから、スピードはなかなかだな。だが、おまえのエナジーパワーが大したことがない。そんな攻撃、俺には効かん。エナジーパワーはもとより、恐竜の体自体が頑強なのだ。」

メルセは長い首を利用して、遠心力を活かし、エナジーパワーで硬化した首をムチのようにうねらせ、竜牙に体当たりした。

ニョロ。

ギュン!!

ドン!!

「うっ。」

竜牙は闘技場の舞台の外まで吹っ飛んだ。

良太や愛、他の恐竜がいる控室では、ホームシアターのように試合の映像が映し出されている。

「何やってんだ。竜牙。あんな攻撃避けれないことないだろ。竜牙だから大丈夫だと思うけど、俺たちならヤバいな。恐竜の基礎体力がヤバイ。人間とは桁違いだ。」

「当たらなきゃいいのよ。そんなの簡単よ。だって、良太。あんたは車に自らぶつかって行こうと思う?それと一緒よ。」

「愛ちゃんの例えすごいわ。よくわかんない。頭良い子とは思えない。」

「死んでないだろ。ガキが。手応えを感じない。おまえの体、変だな。」

「バレたか。徐々にエンジン入れていきたいんだ。俺。俺の拳は効かなかったけど、これはどうかな?」

竜牙は手にエナジーを集中させた。

竜牙の得意技だ。

自身のエナジーを放出するだけの技。

「『エナジーショット』!!」

ビュー。

ボン!!

メルセの顔に直撃した。

「拳よりはエナジーパワーが強いはずだ。どうだ?」

「ちょっと良太。竜牙のやつ、以前私たちと戦った時より遥かに弱くない?」

「あいつ、全く力を出していないと思うぜ。完全に遊んでる。」

闘技場の周りの地面から、木が数本急激に伸び始めた。

ニョキニョキ。

その植物たちは、つるのようにうねり、竜牙の手足をつかんだ。

ギュッ。

「何だこれ?」

「油断したな。俺は植物を操れる。『パウンドハ』(樹術創生)。植物を高速で生み出し、自由自在にできる。それに…。」

「こんな植物。ちょっとエナジーパワー入れれば、破れるし…。ん?なんかパワーが入んない?」

「もうっ。ホントにバカ竜牙なんだから、完全にエナジーパワーを吸われているじゃない!!」

「この植物は食虫植物の要領で、養分を吸い取るのをつかんだ相手のエナジーパワーが吸える。このままでもお前は弱っていくが、俺は手を抜かない。お前は奥の手を隠しているんだろ?生意気なクソガキが。」

今度は、メルセは長い尻尾にエナジーパワーを集中させた。

竜牙から奪ったエナジーパワーを足して。

尻尾をうねらせ、遠心力をつけ、尻尾の先でそのまま竜牙の体ごと貫く。

ブオンブオン。

ズオッ!!

「『アギャ』(炎)。」

竜牙は両手で火を纏い、つかまれていた植物を焼き切った。

ボオッ。

植物を焼いて、自由になった竜牙はそのままメルセの尻尾の攻撃をゆうゆうとかわした。

シュッ。

「なに!!」

「じゃあ今度はこれね。『エナジーショット・アギャ』(火炎放射)!!」

ボビュン!!

炎で包まれたエナジーショット。

メルセに直撃し、メルセの体ごと燃えた。

「ギャアアアアアアアアアアアアア嗚呼アアあゝアア嗚呼アア~。」

「あんな弱いエナジーマジックであんなに燃えるの?ってことは。」

「あのブラキオサウルスのシールドはエナジーマジック(性質系、属性系)に弱かったってこと。竜牙も考えてるだろ?」

「だったらムカつくわ。あいつ『マッパトイ』(エナジー測定)使えないじゃない。それでそんなことわかるなんて、反則よ。」

竜牙は苦しんでるメルセの口元に飛んだ。

ビュン。

ボキッ。

前牙を一本折った。

「たぶん恐竜も爬虫類だから、また歯が生えるだろ?」

そう言って、竜牙は炎をとめた。

メルセは多少の火傷は負った。

しかし致命傷ではない。

「なあ恐竜人間の審判。この歯を持って上に掲げれば、俺の勝ちなの?」

「ああそうだ。とっとと歯を上に掲げろ。」

竜牙は言う通りにした。

「Aブロック一回戦、地球人唯竜牙対ブラキオサウルスのメルセ、唯竜牙勝利!!!」

会場の観客席からはブーイングの嵐。

「ブラキオサウルスよえーな。」

「あんな地球人のガキ。俺だったらすぐに食い殺せる。」

「大きい体して情けねー。」

「うわ。うるさい恐竜。弱いヤツほどうるさいっていうもんな。」

竜牙はメルセの折った牙をメルセに返した。

「大した傷じゃないだろ?俺は楽しかったぜ。俺、エナジーマジックあんまり使ったことなかったからいい勉強になった。今度、背中のせてくれよな。」

「…。」

メルセは何も言わなかった。

何も言わないまま、無言でメルセはウガンドロンを使い、空高く消えていった。

「あっ。せっかくのブラキオサウルスだったのに、写メ撮れば良かった。って生身の俺じゃないからスマホなかった。」

竜牙は良太たちのいる控室に帰っていった。

「竜牙やったな。」

「全然楽勝ー。」

バチン。

竜牙と良太は手を叩き合った。

「私から言わせれば、あんな戦い方格下にしか通じない。それがわかっているんでしょうね?」

「うん。修行のつもりで戦っていたから。俺のアギャ。良かっただろ?」

「どこがよ!!あんなの私のヴュックジャガに全然及ばないエナジーマジックじゃない。」

「Aブロック一回戦。地球人の『中西良太』対トリケラトプスの『ワンプソン』集合だ。」

「次は俺だな。まあみんな見といてくれよ。行ってくる。」

「俺、良太って全然強いイメージないんだけど、俺よりエナジーパワー全然低いし。」

「竜牙!!シッ。黙りなさい。でもね、最近私もそう思ってきたところ。私よりエナジーパワーはあるんだけど、私のエナジーの上達が早くてね。オホホホ。」

「もう愛ちゃんったら。中西くんはエナジー部隊でも、山本総隊長に推薦された特別なエナジープランよ。のちにすごいエナジープランに成長するわ。」

「能力が特殊だからな。ちなみに鈴中知ってたか?俺も特別推薦枠の生徒なんだぜ?」

「えっ。長谷先輩が。全然見えません。てか存在がセクハラです。」

「愛ちゃんには刺激が強すぎたのね。医術エナジーの授業。長谷の能力の凄さはそのうちわかるわ。日本のエナジー部隊の中心にたつかもしれない男なのよ。実は。」

「加賀美。盛りすぎ。」

「もうすぐ良太の試合始まるぞ。」

「人が喋ってるのに。このクソガキの唯竜牙とこの大会で当たったら、粉微塵にしてやるわ!!」

良太の対戦恐竜のトリケラトプス。

後期白亜紀に生息されていたとされる草食恐竜。

頭に2本の大きなツノがある。

鼻の上にも少し小さなツノがある。

体長は8m前後。

強力なツノで敵を威嚇し、撃退する。

Aブロックの闘技場の舞台に上がった良太と、トリケラトプスの「ワンプソン」。

「ちょっと緊張するな。」

「地球人のガキが。ガキだから的が小さいぜ。」

「一回戦。地球の『中西良太』対トリケラトプスの『ワンプソン』はじめ!!」

ワンプソンは見た目のまま、エナジーパワーを2本のツノに集中させ、良太目掛けて突進してきた。

迎え撃つ良太。

そのままかわせばいいものを、エナジーパワーを全開まで増幅させていた。

ズオッ。

「さて、敵のトリケラトプスと中西(良太)のエナジー分析をしますか。『マッパトイ』!!」

長谷は控室のモニターから、トリケラトプスと良太のエナジーを測定した。

マッパトイは、両目にエナジーの膜をつけ、そこから敵のエナジーを分析数値化する能力である。

「良太のエナジーパワー3700。トリケラトプスのエナジーパワー4200。パワーじゃ負けるな。」

ガン!!

良太はトリケラトプスの突進を体全体で受け止めようとしたが、パワーで劣っているため吹っ飛ばされてしまった。

「ぐあっ。」

「もうっ。良太何やっているのよ。力に力なんて馬鹿がやることよ?」

「フン。脆弱な人間が。言っとくけど、俺は本気出してないんだぜ。お前が近距離を避けたって、俺には。」

ワンプソンは頭の二つのツノにエナジーマジックを集中させた。

バリバリ。

「『ヴュックジャガ』!!」

ワンプソンはツノに電撃を発生させ、電撃波として良太目掛けて発射された。

「黒焦げになれ。」

「『シリンティ』(物質創造化)。」

良太はシールドの上を何かの物質でできた膜で覆った。

バシュッ。

「なに!?電撃が通らねえ!!」

「この程度の電撃、電気を通さないゴムで覆えばこの通りだ。俺は物質を作るのが得意だからな。」

「えっ。じゃあ私のヴュックジャガも良太に通用しないってわけ?ううん。そんなことない。あのトリケラトプス私よりずっとエナジーマジック低いもの。」

「だったら、どうした!!お前みたいな脆弱なガキはパワーでゴリ押しだ!!」

トリケラトプスはさっきよりも強いエナジーパワーを纏い始めた。

ズオッ。

凄まじい突進を繰り出さそうした。

ガン!!

トリケラトプスが走り出した時、目の前に大きな鉄製の壁が現れた。

「さっき仕掛けといたんだ。今、ちょうど生成が終わったから出現させた。鉄製はお前らエナジープランの恐竜でも硬えだろ?」

ワンプソンは壁にぶつかった衝撃で、頭から血が出て倒れ込んだ。

「くそ。ん?あっ。」

その隙を良太が見逃すわけがなかった。

「『クハンディー』!!」

良太が得意な斧をエナジーで生成させていた。

斧を使うと良太のエナジーパワーがさらに飛躍されていた。

「嘘だろ。中西のエナジーパワーが5500まで上がってやがる。シリンティ派のエナジープランってこういうとこあるんだ。」

「やだ。こわい。ちょっと前の良太の三倍くらいエナジー強化されてる。も~。」

ズバッ!!

良太はトリケラトプスの大きなツノを一本切り落とした。

「俺のツノ~!!!!」

「どうする?続きやる?やってもいいけど、今度のはこのクハンディーでお前の体を刻むぞ。」

「うっ。」

トリケラトプスのワンプソンは闘技場の舞台からしぶしぶ降りていった。

良太はツノを高々と空に掲げた。

「一回戦。地球人『中西良太』対トリケラトプスの『ワンプソン』。『中西良太』勝者!!」

わああああああ~。

って叫んでいるのは、地球人陣営だけ。

「良太もやればできるじゃん。」

「あんたはホント何様なのよ。竜牙。」

つづく。


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