「らっしゃいませ〜。」
僕はバイトをしていた。
家から離れている地域でバイトしているから、顔見知りに会うことはないはず。
バレてもいいんだけど、なんかバイトしているのが恥ずかしい気持ちにもなる。
とりあえず、同じマンションに住んでいる人たちにはバレたくないな。
「鈴木さん。分譲なのにバイトだったの?」
「借金でもたくさんあるのかしら?」
「ローンが大変なのかしら。かわいそう。」
憶測だけど、こんな感じかな?
まあいいんだけど、サラッとした付き合いしかしてない人たちばっかりだし。
一番バレたくないのは、今、一番気になっているマンションの住民。
短髪になったことで、キュンときてしまった30〜40代くらいのポッチャリサラリーマン。
彼にさえバレなければ…。
「らっしゃいませ。えっ。」
「これとこれください…。えっ。同じマンションの…。えーと。」
「鈴木です。ちょっとびっくりです。前回の管理組合の総会以来ですね。」
「このお仕事、本業ですか?前回、伺ったときは…。」
「ちょっと知り合いの紹介で、休みの日はここで働いているんです。また、マンションで。」
地獄だ。
よりによって、この人にバレてしまうなんて。
ってことはこの人の仕事がこの辺?
えっ。
じゃあ今度からこの人と会える?
ウソ。
やっぱ天国?
それより既婚かどうかまだわかってない。
物腰が柔らかだから、少し疑惑を抱いているんだけど。
そして、仲良くなって、
「じゃあ今日、鈴木くん。俺んち来ますか?」
「行きます。何持っていったらいいですか?」
「何もいいよ。」
そしてその人の部屋に向かう。
「あれ?真っ暗。誰もいない。」
後ろから抱きつかれ。
「あん。」
あくまで妄想です。

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