入学戦闘から一週間後。
エナジー部隊初等部、中等部、高等部は週末だけ授業が行われる。
祝日がある場合は、授業が行われることもある。
生徒たちは、通常の学校教育を受けているからだ。
平日の学校終わりに、横須賀の基地に行くには時間がかかりすぎる。
主に関東在中の生徒が、横須賀のエナジー部隊に入隊する。
西日本には、広島にエナジー部隊がある。
関西圏に住んでいる生徒は、広島に行く。
それでも北海道や沖縄などに遠方に住んでいるエナジープランたちは、エナジー部隊の入学を諦める。
そして独学でエナジーを学ぶ。
各都道府県の役所には、エナジープラン専用の窓口がある。
地方に住んでいるエナジープランは、そこでエナジーについて軽く学ぶようだ。
そして、鈴中愛。
エナジー部隊高等部の授業開始時間は6時。
公共交通機関で横須賀まで移動するのは困難だ。
自力でたどり着くのみ。
愛は、今日もウガンドロン(シールド高速移動術)で町田から飛行で高等部に向かう。
ちょっと授業までの時間が危なかったのか、教室の窓から登校した。
「もう。愛ちゃん。ダメじゃない。ちゃんと校庭から入ってきなさい。」
「おはようございます。七瀬先輩。ごめんなさい。今日は10分寝坊しちゃって。」
「愛ちゃんったら。将来有望なエナジー部隊のエリート生がそんなこと言ってちゃダメでしょ。岡田先生にバレたら大変よ。」
すると、教壇にはすでに岡田先生が立っていた。
「誰にバレたら大変なのかしら?うふ。みんなおはよ。」
岡田先生は今日も胸元が見えるようなセクシーな格好をしている。
男子生徒たちは岡田先生に釘付けである。
「今日の岡田先生やべ~。俺、絶対授業集中できねー。」
「俺もだ。足がやべー。筋肉すごいはずなのに、なんであんな細くていやらしい足してんだ~。」
他の女子生徒たちは。
「ホント男ってそればっかり。どうせ私たちはまだ子どもよ。世間的には若いわ。若いって最強なのよ。わかんないのかしら。馬鹿な男ども。」
「もう。先輩。やめてください。そしたら12歳の私がこの中で最強になってしまいますぅ~。」
「愛ちゃん。調子に乗らない。前の入学戦闘みたいにボコボコにしちゃうわよ。」
コツン。
七瀬は愛を軽く殴った。
「ごめんなさいですわ。」
「はいはい。みんなおしゃべりはそこまで。最初の授業は選択授業のエナジー研究と医術エナジーよ。」
「じゃあ私は早速、エナジー研究の方に。」
愛はエナジー研究の授業に向かおうとしていた。
岡田先生が、
「愛ちゃん。ダメじゃない。医術エナジーは高等部の必須よ?男も女も関係ないのよ。」
「わかってるんですけど、竜牙がむかつくんですもの。」
「あんなの早く殺していいから。地球のゴミ。いや宇宙のゴミ。あんな下等なミクロのいうことを信じない。聞かない。いいとこ?大事なことよ。」
「そうよ。愛ちゃんはあくまで唯竜牙の監視。あんまり関わらない方がいいわよ。先週、初めてみたけどホントに頭悪そうだったもんね。」
「全然、イケメンじゃないしね。子どもだからってわかるわ。大きくなっても大した顔にならないわよ。」
「それわかる~。ちょーウケるんですけど。」
「医術エナジーは座学も緻密なエナジー操作もどっちも大変。でも使えるようにならないと、生きていけないわよ。この世界では。」
「わかりました。」
「うふ。わかればいいのよ。それに医術エナジーは私が担当だから、この教室でできるわ。移動しなくていいでしょ?今日は女子、愛ちゃんだけだけどね。」
「わ。男くさい。」
「鈴中~。おまえガキのクセに言うよな~。それにしても前の入学戦闘は面白かった。」
「何言ってるんですか。私は古谷先輩の書いていた台本通りにやっただけですよ?」
「鈴中。俺は気づいてるぞ。俺の書いていたセリフでは、パイセンなんか書いてなかった。あんな丁寧な喋り方ではなかったし、わざとだろ?」
「古谷先輩。私、なんのことかわかりませんわ。おほほほ。」
「おまえがそういう喋り方をするときは、何か企んでいるときだということがわかった。」
「もうっ。男子たち。愛ばかりに話しかけてどういうこと~?この私がいるのよ?」
岡田先生は、胸元のボタンを一つ外して、さらに胸を強調させた。
ボイン。
すると、男子たちはそればかりに目がいく。
授業にならない。
「も~。こんなんで大丈夫なのかしら。やっぱりエナジー研究に行きたかったわ。」
「はあ~。さっきから愛といい、男子たちといい授業に集中できていないわね。それだったらいいわ。実技に変えましょう。長谷いらっしゃい。」
長谷は以前の入学戦闘で、愛のエナジーを10秒間無効化した男子生徒だ。
「ななななんですか。岡田先生。」
「うふ。わかるわ。長谷が一番興奮してることを。」
「何言ってるんですか。俺は!!」
「すごいわ。たくさん男性ホルモンが出てる。感知能力出してなくてもそれくらいわかるわ。長谷。ぬ・い・で。」
「無理です。今、大変なんです!!」
「わかってるわよ。それくらい。でもそんなこと知ったことじゃないわ。だって、体の授業なんですもの。」
岡田先生は、右手にエナジーパワーを集中させ、手刀で長谷の制服を全て切り払った。
ズバズバズバ!!!
「岡田先生!!いけない!!」
長谷はスッポンポンになった。
下着も全て切り払われた。
「長谷。大きくなってるわね。」
「岡田先生!!見ないでください!!」
必死に股間を隠す長谷。
「もう嫌だ~。こんな授業~。」
「愛ちゃん。こんなことで目を逸らしちゃダメ。これが人間の男の体よ。ちゃんと目に焼き付けておきなさい。なんで性器が大きくなったかお分かり?」
「そんなの分かりません。長谷先輩がスケベだからじゃないんですか?」
「愛ちゃん。違うの。私なの。私の大人の女の魅力に性的興奮をしたの。だから長谷の男性器は大きくなったのよ。」
「もう。俺の体で遊ばないで~。」
「あら?余計にかたくなってるわよ。長谷。」
「キャッ。」
「ちょっと性教育が入りすぎちゃったかしら。じゃあこっからが本番よ。」
ズバッ。
ブシュー。
岡田先生はさっきのように、手刀で長谷の体、首から下を裂いた。
血が教室中を弾け飛ぶ。
心臓や肺、内臓や様々な臓物が視認できるほど深い切り口だ。
「うぎゃー!!!!!」
「あら。痛覚遮断するの忘れていたわ。『ダード・ニッケルダ』(痛覚遮断)!!と『イラージ』(自己治癒力強化)」
岡田先生は、長谷の体の痛みを感じなくさせ、溢れ出る血を止め、生命を維持できる状態にした。
だが、体は首から下裂けたままになっている。
「さあみんなこれでホントに体の授業よ。はい。愛ちゃん。これはどこ?」
「心臓ですか?グロい。」
「ブー。左肺でした。ちゃんとみなきゃ大変よ?実戦でたくさん負傷者出るんだから、こんなグロさでビビっていたらダメよ。」
わかってるわよ。
岡田先生。
私には医術エナジーは必須。
これからの戦いに必ず必要になってくる。
良太と危険な任務をこなすとき、私が医術エナジーを使えないと良太の命に関わる。
だけど、私は自分だけの必殺技を作りたいの。
強力な攻撃技と特殊能力が必要なの。
だから、エナジー研究をもっとしたいの。
そのために飛び級してまで高等部にやってきたのよ。
医術エナジーやっている場合じゃないのよ。
私の「ヴュックジャガ」(電撃)と「ポール・ゲング」(攻防一体のエナジー玉)だけじゃ足りない。
もっともっとエナジーの技を作りたいのよ。
そうしなきゃ、竜牙に勝てない。
私、あいつにだけは負けたくないのよ。
あいつがどんどん強くなっていくのがわかるのよ。
こうしている間にもあいつは反則級に強くなっていく。
そのためにも、私には度肝を抜くような必殺技を身につける必要がある。
見てなさい!!
竜牙!!
夏休み中にあんたを絶対に追い越すわ。
圧倒的な壁を見せてやるんだから!!
コメント