第十二エナジー「マクロとミクロとナブフィッキー(核)」

竜牙の母親は、竜牙が幼稚園の時に大事にしていたぬいぐるみくまことうさこが、まことさこではないかと尋ねた。

「いや。違うぞ。悪いけど。」

「なんでオレやさこがそんなとき地球に来てんだよ。地球には最近、初めて来たんだぜ?」

竜牙の母親はがっかりした様子だった。

「そう。ごめんなさいね。変なこと言って。」

「まあいいじゃないか。母さん。俺は、くまことうさこに感謝してるんだ。だって、くまことうさこを参考にして俺の会社でヒットを飛ばしている『くまちゃんチョコシリーズ』を作ったんだもん。」

「まああなた盗作じゃないの?」

「だって、くまことうさこ居なくなったからいいんじゃね?最近、くまことうさこの冒険シリーズを製作したら、これも小学生の低学年にヒットしちゃって、忙しくて二ヶ月東京帰れなかった。」

「そういう事情だったの。ごめんなさい。私ったら他の女ができたのかと思ったわ。」

「浮気なんてするわけないだろ。それでまこちゃんたちをみてたら、またインスピレーションが沸いちゃったよ。ねえねえまよちゃん。」

「なに?まよちゃん。ぱふぇでいそがしいの。もひゅもひゅ。」

「まよちゃんも『くまちゃんチョコシリーズ』に登場させていいかな?」

「え~。まよちゃん。もっとにんきものになるの?」

「そだよ。」

「じゃあ毎日、ぱふぇとケーキ食べたい。」

「契約成立だね。まよちゃんは緑色だから、メロンチョコ味にしようーと。」

「オレに似てるっていうくまこは何味なんだ?」

「くまこはビターチョコ。うさこはホワイトチョコ。味で一番人気があるのはくまこかな。このチョコの中に入っているバトルカードがまた人気なんだよ。」

「当然、くまこが一番強いんだろうな。」

「くまことうさこが互角の強さかな。くまことうさこのカードが当たったら、みんな喜ぶね。ネットでも高値で取引されている。そこに第三の勢力としてまよちゃんが登場したら面白いよね。」

「まよちゃんはかわいいイラストにしてね。強さはいらないの。」

「父さん。仕事の話もういいじゃん。俺と母さんにも何か買ってくれるんだろ?ボーナスで。」

「そのつもりだったけど、まこちゃんたち想像以上だね。食いっぷりが。なめてた。ボーナスがこの外食で全てパーだ。」

「も~。だから言ったのに。こいつら半端ねえって。」

「うふふ。なんかいい気味だわ。」

「じゃあお腹も膨れたし、竜牙、修行するか?」

「今日はいいよ。父さんの相手してやるから。」

「お前にとって修行はそんなもんか。そりゃ強くならんな。」

そう言って、まこはひょこひょこと勝手にレストランを出て、どこかに行ってしまった。

「まこのやつ、どっか行ったぞ?さこたちはいいのかよ?」

「別にまこと仲良しなわけじゃないからいつも一緒ってわけじゃないぜ。地球に来たのも、たまたまだ。まよが地球を見つけたから、さこが来ただけだ。そしたら、まこが近くにいて付いてきやがったんだ。」

「まことさこの関係がよくわかんないよ。」

「いやいや明らかにライバル関係だと思うぞ。息子よ。もっと勉強してくれ。」

「なあなあさこ。エナジー用語でわかんないこと聞いていいか?」

「竜牙の父親にご飯奢ってもらったから一つくらいならいいぞ。」

「俺は『ミクロ』ってエナジー使える敵のことだと思ってたんだけど、さこたちが俺や愛たちのこともミクロって言ってた気がする。でも、エナジー使えるやつらのこと『エナジープラン』っていうじゃん。その違いがわからないんだけど。」

「りゅーがってそんなこともわからないの?ばかだね。」

「うるせー。じゃあおまえが説明しろよ。」

「そっか。今のお前は『マクロ』で会ったことがあるのは、さことまことまよと地球くらいか。」

「なんで地球が出てくんだよ。」

「ん?地球や惑星はマクロだ。中心部に『エナジーナブフィッキー(核)』がある。つまり、エナジーを大量に生み出せる『核』(ナブフィッキー)ということだ。マクロにはそれがある。だからミクロよりも遥かにエナジー総量が多い。」

「じゃあさこやまこの体の中に、『核』(ナブフィッキー)があるってことか?」

「そうだ。体の中心にある。さこやまこの体の中に、小さくて丸い宝石のような『核』(ナブフィッキー)がある。そこから無尽蔵にエナジーを生み出すことができる。ミクロの場合、エナジーを生み出すには、細胞の中からエナジーを絞り出すしかない。」

「要するにミクロとマクロはエナジーの量が桁違いってわけか。やっぱミクロがマクロと戦うと勝つのって難しいの?」

「マクロにも格差が存在するから勝てないこともない。ミクロがそれなりに策を練ったり、戦術を効率的にできるエナジー能力があれば、マクロに勝つこともできる。それでもさこに勝てるミクロはいないけど。」

「俺だったらマクロ勝てそう?」

「ん~。竜牙は地球を破壊できるか?」

「え~。地球破壊か~。エナジーショット連発しても無理そうだな~。」

「じゃあマクロ倒せないな。」

「あっ。でも人間は核ミサイルとか地球破壊できる爆弾結構持ってるぜ。人間の破壊兵器で地球壊せるって。」

「その兵器か。さこも少し人間の兵器を勉強したが、破壊力の質量が全く足りない。核融合で破壊力を上げるのは当たり前のことだが、まだまだ技術不足だ。他の星のミクロたちは核融合にエナジーで質量をさらに底上げして破壊力を増幅させたりしているぞ。」

「え~。核ミサイルで地球滅ぼせるって誰かが言ってたんだけどな。」

「それはエナジープランじゃないものは死ぬということだ。人間たちが持っている核は全世界合わせて数万発。破壊力でいうと、地球の周りを周っている月すら壊せない。」

「マジかよ。人間の力ってそんなものなのか。」

「人間が弱いというより、マクロは外殻が硬く、ナブフィッキー(核)によりエナジー総量が高い。それだけの話だ。」

「なんかマクロをぶっ倒したら楽しそうだな。俺はやるぜ。マクロをぶっ倒す。」

「いつでもさこが相手になるが?」

「そういや最近、愛や良太がいつもの公園に来ないんだけど、あいつらエナジー修行サボってんのかな?」

「いや。あいつらは気づいたんだ。エナジー修行赤ちゃん編がものすごく効果的だということを。」

その頃、愛は家にいた。

本来なら、横須賀にあるエナジー初等部の演習がある。

しかし、まこが横須賀の基地に多大な被害を出してしまった影響で休校になった。

愛は身震いをしていた。

さこが言っていた通りエナジー修行赤ちゃん編を続けていた。

つまり、24時間いつでもエナジーを放出し続けるということだ。

初日、一番大変だったのは睡眠をとるとき。

睡眠に入ろうとすると、当然集中力は欠け、エナジーが解けてしまう。

だから、初日は寝ることもできなかった。

だが、だんだん慣れてくる。

エナジーを放出していることが自然になってくる。

愛が強いエナジーを練ろうとすると、いつも以上に膨大に練れる。

この膨大なエナジーを使えばいろんなことができるはず。

エナジー総量が1000を超えると、空中や水中での移動ができるようになる。

全身をシールドで覆い、重力、水圧、空気圧に押し負けないエナジーパワーが必要になるからである。

愛も良太もエナジー総量が1000は超えている。

しかし、空を飛ぶこと、水中に入ることは苦手である。

それだけエナジーを消費するからである。

今回さこから教わったエナジー修行赤ちゃん編で克服する。

エナジーを常に放出することが自然になるからだ。

シールドをずっと張れる。

シールドをずっと張れるということは、空中や水中でもエナジー消耗を気にせず、力を発揮できる。

愛はさこに感謝した。

「この力を使えば、私、初等部なんか抜け出す!!とっとと正式なエナジー部隊に入隊できる!!」

愛はエナジー部隊総隊長の山本に電話で連絡した。

「隊長。鈴中です。ちょっと相談があります。」

「なんだ?今、横須賀の状況知っているだろ?手短に言え!!」

「わかりました。力で示します。」

そう言って、愛は電話を切った。

総隊長の山本は、横須賀の基地の修理で仕事が終われていた。

建物の修理は一般の建設業の方に依頼せず、自分たちだけで対処していた。

しかし、それが確実である。

一般の方にエナジーの情報は明かせない。

世界中の国々の極秘事項だからである。

建物の修理は、エナジー能力で直せる。

物体を作り出す能力で建物を生み出す。

エナジー部隊10人がかりで、以前と同じ建物に再現することができた。

簡単に直せているようにみえるが、エナジー消費は激しく、エナジ部隊10人と総隊長の山本は基地周辺の運動場のベンチで休んでいた。

「はあはあはあ。創造系のエナジー能力は神経とエナジーを削るから疲れる。ん?」

そのとき、上空から何者かが降りてきた。

「愛!!おまえ、ウガンドロン(シールド高速移動術)を使えるようになったのか!?」

「もう。だから言ったじゃないですか。力で示しますって。」

「さっき電話をしていたのは、30分前だったな。30分で町田から横須賀まで。40kmを!!」

「さすがに疲れました。時速80kmは出ていたんですね。空を飛ぶのは気持ちよかったです。」

「力を示すと言っていたな。ウガンドロン(シールド高速移動術)習得は、中等部の卒業までに。それを初等部中に成し遂げたということは、飛級が狙いか?」

「はい。私、竜牙やマクロ様をみていて、このままではいけないと思いました。高等部に行き、さらにエナジー技術を磨きたいです。」

「わかった。7月から高等部に行け。高等部には俺から言っとく。さっさとエナジー部隊に来い。」

「ありがとうございます。」

つづく。


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