第十エナジー「エナジー修行赤ちゃん編」

The Energy World エナジーワールド
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ボッ。

巨大な竜牙のエナジーショットが地面をすり抜けていった。

「おっ。なかなかいいエナジー弾が出たな。良太に良いダメージ与えられたんじゃねーか。」

良太を見てみると、ピンピンしている。

何もダメージを受けていない。

「あれ?あのエナジーショットで無傷なの?良太つえーじゃん。」

「どこがだよ!!竜牙!!あんなの食らってたら、ホントに死ぬって!!昨日も言っただろ。俺や愛は生身の人間なの!!エナジーを纏っている状態であれを食らったら、間違いなく死んでるって。」

「え~。でも生きてるじゃん。避けたってこと?」

「にぶいな。竜牙。この良太は地球ならではの避け方をしたんだ。」

「どゆこと?」

「エナジーを消したんだ。シールドを閉じ、体中から流れるエナジーを止めたんだ。学校に行っているときの状態にしたってことだ。」

「お~。なるほど。じゃあ強い攻撃を受けそうな時はその手で避ければいいんだな?」

「そんなもん、この地球内でしか通用しない。他の惑星だと、温度、重力、大気汚染などでシールド無しの生身のミクロはすぐに死んでしまうぞ。」

「らしいぞ~。良太~。あんまよくないってさ。」

「そんなこと言っても死んじゃうって。」

「そういうことだ。エナジーを鍛えるとは常に死ととなり合わせ。そうやって全宇宙のエナジープランたちはエナジー修行に励んでいる。この地球の日本という国は甘すぎる。」

「私たちも薄々はそうかもしれないと感じていました。でも、昨日は生き延びることができ、とても勉強になりました。ショックでトラウマになりましたが、それをバネに命をかけて私は修行する次第です!!」

「そっか。愛の覚悟は伝わった。良太はどうする?」

「俺も甘っちょろい修行しかしてこなかったかもしれません。ですが、この日本のエナジー界を背負って立つ男になりたいです。さこ様ご指導よろしくお願いします。」

「わかった。」

「さこちゃん。まよちゃん、つまんないの。」

「そうだな。こいつら、弱すぎてつまんないもんな。おい竜牙。」

「なんだよ。さこ。」

「ちょっとまよがつまらなさそうにしてるから、空でも飛んでまよをあやしてこい。」

「はあ~?それが修行か?赤ちゃんじゃあるまいし。」

「まよちゃんはずっと赤ちゃんなの。」

「へいへい。」

竜牙はしぶしぶまよを抱えて、空高く飛んでいった。

「竜牙がいなくなって、修行しやすくなっただろ?おまえら。」

「さこ様、お気遣い素晴らしすぎます。ホントにあのバカがいると木が散るんです。」

「たしかに竜牙の力はちょっと反則です。」

「昨日の修行は遊びだったから、今日のはエナジー修行赤ちゃん編だ。」

「響きは可愛いですね。(どうせキツイに決まってるだろうけど。)」

「なぜ、赤ちゃんかというと、他の星のミクロたちと同様にさせようと思っているからだ。」

「同様。同じにさせるということですか?」

「そうだ。おまえらがエナジーを習っているという部隊が、どういうエナジー教育をしているかわからん。だが、お前らが日常、エナジーを使っていない、シールドを無意識に使っていないことが異常なんだ。」

「えっ。シールドは戦いの時に出すものじゃないんですか?」

「さっきも言ったけど、戦いの時以外にもシールドは必要だ。他の惑星の事情を考えたことはあるか?」

「地球以外の星。あっ。水がない。森がない。文明がない。こんな感じですか?」

「地球は水も多いし、緑も多い。そんな惑星は少ない。だが、一番の問題は生身の体で生きていけるということだ。この地球全体の平均気温は約15度。おまえら人間が呼吸するために必要な酸素も十分にある。重力も軽い。天候も穏やか。シールドが使えなくても生きることができるってことだ。もうわかっただろ?どういうことか。」

「そっか。他の惑星は寒すぎるか暑すぎる。酸素もない。それを補うためにシールドを常に張り続けなければならないってことか。生まれた時からずっと。そういうことですよね?」

「おまえらも言っていただろ?日本で生まれるエナジープランの確率は50万人に1人。お母さんのお腹の中から出てきた赤ちゃんは、出てきた瞬間にシールドを無意識で発生させる。だから、この地球ではエナジープラン以外に存在が認識されない。おそらく、エナジープランの誰かが、赤ちゃんにエナジーの止め方、消し方を指導するんだろ?それが、この国のエナジープランを脆弱にする理由だ。」

「御名答です。さこ様。ですが、乳幼児期にエナジーの止め方を覚えないとエナジーの出し入れができなくなってしまうんです。エナジーのコントロールができなければ、他の人たちと同じように生活することが困難になります。」

「だったら、ずっとエナジーを放出しとけばいいだろうが。」

「そうすると、エナジープランじゃない人たちからは姿が見えないですよ!!」

「はぁ~。わかってないな。これから良太と愛にはそれをやってもらう。だから、エナジー修行赤ちゃん編だ。」

「はい?」

「おまえたちは今から死ぬまで一生、エナジー放出を止めるな。出し続けろ。シールドを解くということは死ぬことだと思え!!」

「・・・。(だからそれをすると、他のエナジー使えない人たちから認識できないから社会生活できないんですってば。)」

「ってツラをしているな。この地球でエナジーが認識されなくなるのは、体の外側からエナジーを放出しているからだ。つまり、体の内側からエナジーを練り、遠隔で自分の体にはシールドをつけず、離れた場所でシールドを発生させ、その状態を維持させる。そうすれば、エナジーを使っていても、地球から認識され、普通の生活が送れるぜ。」

「・・・。(簡単に言ってくれますけど、それって超複雑です。内側からエナジーを練る修行をあまりしたことがないし、遠隔でシールドを飛ばすとか、めちゃくちゃ難しくない?)」

「つべこべ言わずやれ。命かけてるんだろ?」

「はい!!」

良太と愛は、必死に体の内側からエナジーを練り、遠隔操作でシールドを張る修行を始めた。

竜牙とまよは?

「なあなあまよ。前から聞きたかったんだけどいいか?」

「なに?なんなの?かわいいまよちゃんになにか用なの?」

「お前もいちいちうるさいな。なんでお前はそのトカゲと体がくっついてんの?」

「トカゲじゃないもん!!りゅーくんだもん。」

「りゅーくん?もしかして、竜!?」

「そだよ。ドラゴンとも言うの。」

「まじかよ。めちゃかっこよくね。俺も自分の名前に竜って入っているのが唯一自分で気に入っているところ。んで、りゅー君となんでくっついてんの?」

「なんかね。まよちゃんが生まれたときにりゅーくんに食べられたんだって。」

「ガウガウ。」

りゅーが笑顔で鳴いた。

「食べられたのに、なんで生きてんだよ。」

「食べられたのに、りゅーくんと仲良くなっちゃったの。だから気づいたら、こんなんなってたの。」

「お前らしいな。てかりゅーも鳴くんだな。普段、大人しいから生きているのかわからなかったぜ。」

「さこちゃんやまこちゃんほどじゃないけど、りゅーくんも強いからりゅーがすぐ死んじゃうよ。」

「うっセーな。まこもさこもりゅーもそのうちみんなぶっ飛ばしてやるよ。」

「まよちゃん。こわいの。かよわいの。」

「それにしてもこれが修行か?良太と愛がどんな修行してるか気になるな。戻ろーと。」

竜牙は愛と良太とさこのいる公園まで戻ってきた。

公園に戻ってきた竜牙だったが、目にした光景は地味だった。

愛はじっとして、ポール・ゲング(エナジーでできたボール)を空中で動かしている。

良太も同様に、身動きせず、クハンディー(エナジーでできた斧)を空中で遠隔操作している。

「なにそれ。地味な修行。ダセェ。」

「黙りなさい。竜牙。殺すわよ?」

「地味だけど、キツイんだよ。俺たちの体の中だけのエナジーを使って、エナジー操作してるから神経使うし、しんどいぜ。」

「(興味なさそうに)ふ~ん。そうなのか。なあさこ。俺は何の修行してたらいい?」

「太陽浴びとけばいいんじゃね?」

「やっぱさこもそう思う?そうなんだよ。俺、太陽浴びれば浴びるほどどんどんエナジーが高まっていくのがわかるんだ。なんかそれってすごくねーか?」

「はいはい。勝手に自分のこと、規格外な人間だと思っていなさい。そろそろ日が暮れるわね。さこ様、本日の修行ありがとうございました。私、塾があるので、お先に失礼します。ポール・ゲングは、24時間発動させますので、命をかけて修行に励む次第です。では。」

そう言って愛はエナジーを遠隔操作させながら、塾に向かった。

「中学受験するやつは大変だな。あっ。じゃあ良太も塾か?」

「俺はあと1時間ここで修行してからいくよ。ん?部隊から支給されている緊急用スマホが鳴ってる。」

ルルルルル。

「はい!!中西です!!山本隊長!!えっ。週末の初等部の演習は休校ですか?緊急事態のためですか。了解しました!!鈴中にも伝えときます。お疲れ様です。失礼します!!」

「なんかあったのか?」

「俺と愛が入隊しているエナジー部隊初等部は、横須賀にあるんだ。毎週土曜日と日曜日に通っているんだけど、急遽お休みになったんだ。山本総隊長からだったんだけど、何かただごとじゃないことが起こったみたいなんだ。なんだろう。こんなこと初めてだ。」

「まこのやつだな。」

「そっかなんかよくわかんねーけど大変なんだな。俺だったら学校が休みってわかったら嬉しいことだけど。」

「俺もそういうことにしておこーかな。」

「お気楽な奴らだ。原因は機密情報を漏洩した愛にあると思うのだが、情報漏洩を教育できなかった山本に責任があるということにしておこう。」

「ねえねえさこちゃん。まよちゃんお腹空いたの。」

「悪い悪い。そろそろ竜牙の家に帰ろう。竜牙の母親が夜ご飯作ってる頃だ。」

「じゃあまよちゃん。帰る~。」

「俺も帰ろーと。日が暮れて太陽出なくなってきたし。良太。帰るからな。」

「おうっ。バイバイ!!」

竜牙たちは良太と公園で別れた。

竜牙の家に着いた。

竜牙は家の鍵を持っていたので、鍵を開けてそのまま家の中に入ろうとした。

ドドドドド!!!

竜牙の母親がすごい剣幕で玄関にいる竜牙の元にやってきた。

「どうしたんだよ。母さん?」

「ちょっと竜牙落ち着いてきてね。」

「俺は落ち着いてるよ。母さんこそ大丈夫かよ。」

「あのね。なんとね。今週末、父さんが帰ってくるのよ。ねっ。嬉しいでしょ。」

「なんだ。そんなことか。いつも一ヶ月に一回くらい帰ってくるじゃんか。」

「何言ってるの。竜牙。今回は二ヶ月ぶりなのよ。ほんと母さんすごく怒ってるんだから。他に女でもできていたら、ただじゃおかないんだから。」

「ん?りゅーがのジジー?強いのかな?さこちゃん。」

「ん~。どうだろうな。エナジープランじゃないと思うが。」

週末、竜牙の父親が帰ってくる。

大手お菓子会社に勤めている竜牙の父親。

竜牙のエナジー能力「アバター」と何か関係があるのか。

また、ヤマタノオロチと竜牙の関係は。

竜牙の謎に迫る。

そのうち。

つづく。

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