女性のパートさんたちは、すぐグループができる。
そして始まる。
悪口大会。
「ねえねえ聞いた?川崎さんのところ。」
「聞いたわよ。また娘さんの件で早退でしょ?」
「いくらなんでも多すぎるわよね?これで何回目?」
「皆さんどうしたんですか?」
「あら。鈴木さん。川崎さんまた休んだんですか?」
「あー。そうですね。娘さんの件でちょっと。」
「やーぱり。ホント娘に甘いわよね。もう小学校四年生でしょ?普通もっと娘とは距離を取らない?」
「川崎さん。娘さんの話しかしないもの。ボーイフレンドができたとかなんとか。どーでもいーつの。」
こんな感じで娘を溺愛しすぎている川崎さんは、ちょっと浮いてしまっている。
娘さんの話ばっかりするのはどうかと僕も思う。
聞いているみんなつまらないんじゃないか?
その数週間後。
「ちょっと聞いてください。皆さん。ウチの子が。なんとくしゃみしたんですよ!!」
「えっ。鈴木さん。お子さんいらっしゃいましたっけ?結婚もしていませんよね?」
「澤さん。にぶいわよ。ホラ。鈴木さん、爬虫類のヘビ飼ったじゃない。それのことよ。」
「ヘビがくしゃみをするなんて、僕知らなかったんです。なんか湿度と温度に問題があるかもしれないんです。僕、心配です。」
「別にいいんですけど、鈴木さん。ホント毎日ヘビの話されていますよね。」
「今までそんなに楽しそうに話をされたこと、なかったですもんね。」
「えっ。そうですか?」
「私も思っていました。なんか鈴木さん、子どもが産まれて、女の子だったらすごく溺愛しそう。他の男と結婚なんかさせるかって。クスクス。」
「それじゃあ川崎さんと一緒じゃないですか〜。」
僕は内心ショックだった。
もし、子どもが産まれたら、ビシバシとスパルタ教育をしようと思っていたからだ。
そんな僕が溺愛なんて…。
ならん。
ならんぞ。
断じてそのようなことは。
あっ。
それ以前に僕はゲイだった。
てへ。

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