僕は、上司から紹介された同じ会社の金岡さんと少し話をした。
おそらく僕と年齢は同じくらい。
一つ上か一つ下かそんな感じ。
同世代の世間話なんて、たくさんあるのにそんなことはどうでも良くて、僕は一方的に話しまくった。
「僕んちのヘビ。脱皮前で大変なんです。湿度を70%保てないと、脱皮できないかもしれないし、心配で心配で気が気じゃないんです。」
「(立場上、金岡さんが上。)そうか。鈴木。そんなに心配しなくていいぞ。元々野生の生き物なんだから、割となんとでもなるぞ。でも、気をつけないといけないのは、暑さと肥満だな。」
僕と金岡さんは爬虫類トークで盛り上がった。
盛り上がり過ぎて、仕事の後、金岡さんの行きつけの爬虫類ショップに行くことになった。
金岡さんは、ヘビ、トカゲが好き。
だけど、割とデザイン性と希少性の高いヘビやトカゲが好きなようだ。
難しい名前のヘビやトカゲを言われても、僕は全然わかんなかった。
シマヘビとアオダイショウ、日本のヘビだったら詳しいんだけど。
「◯◯ってヘビのアルビノを狙ってるんだけど、クソ〜44万円もしやがる。冬のボーナスで買おうかな。鈴木はなんか買うか?金持ってんだろ?」
「今、飼っているヘビのオスが欲しいです。ただ、飼うケージがないので、今飼うとヘビを困らせてしまいます。」
「なんだよ〜。飼っちまえよ〜。」
欲しいんだけどね、ヘビは多頭飼いできないから、場所も道具もまた必要になるから。
爬虫類ショップの後、ご飯も食べに行って、お酒も入っていないのに(金岡さん下戸)盛り上がった。
0時近くなったので、解散した。(金岡さん家族持ちだし。)
爬虫類、僕が特に好きなヘビの話や悩みを言えて良かったし、楽しかった。
でも、正直な気持ち、少し寂しかった。
なんかわかった気がするんだ。
爬虫類好きな人たちの気持ちが。
爬虫類好きな人たちは、僕よりヘビの種類(モルフ)や特徴に詳しい。
それが、どれくらい価値のある個体かも理解している。
そういう話を聞いていると、なんら変わりがないんだ。
ブランド物好き、車好きの人たちと。
いや、全く一緒。
根本にあるものは、消費社会、物欲それだけなんだ。
物欲があまりない僕には、共感しづらいみたいなんだ。
物欲よりも、社会に対してとか、環境とかを考える方が好きなんだろうな。
海外から輸入されたヘビを飼っといて、何を言ってるんだ僕は。
矛盾しているのはわかっている。
心が苦しい。
希少価値の高い爬虫類たちの売買の闇を知るのが。
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